
大規模運用の現場は、なぜ“詰まり”やすいのか
──障害対応・性能改善・自動化まで前に進めた、A氏の運用改善ストーリー(YOROZU)
💡読了目安時間:約6分
※本記事は、大規模システム運用(インフラ運用改善)の現場で起きる属人化や統制不足を、実例でほどいていく話です。
企業のIT基盤は、オンプレミスとクラウドの混在、マルチベンダー構成、サービス需要の変動、非機能要件の高度化などで、年々「複雑さ」を増しています。
その結果、現場ではトラブルそのものよりも、属人化や統制不足、性能問題の再発、手作業の積み上がりといった“運用の詰まり”が先に起きやすくなります。
そんな状況の中で、10年以上にわたり大規模基盤システムの構築・運用・改善に従事し、基盤リーダーとして数百台規模のインフラ安定化、性能改善、運用自動化を推進してきたエンジニアがいます。
本記事では、その A氏 の実例を手がかりに、「複雑な運用を、どう整理し、どう前へ進めるか」を読み物としてお届けします。
先に、この記事の“読みどころ”(1分で把握)
- 大規模運用のトラブルは、個別の障害よりも 体制・情報・意思決定・手順 に原因が潜みやすい
- A氏は技術だけでなく 情報整理と調整 で“詰まり”をほどいた
- 近道は 事実→整理→決め方→資産化→自動化 の順に進めること
目次[非表示]
大規模運用で起きがちな“4つの詰まり”
A氏の事例に入る前に、まず現場でよく起きる詰まりを4つに整理します。
これが見えるだけで、「次に何をすべきか」が選びやすくなります。
- 属人化:障害対応や変更の判断が、特定メンバーの経験に依存する
- 統制不足:会議体やレビュー、意思決定が回らず、物事が止まる
- 構造問題の放置:性能や冗長、設計抜けなどが根本解決されず再発する
- 手作業の積み上がり:GUI中心の運用が残り、運用負荷が雪だるま式に増える
事例1:決済基盤──混乱を整え、「任せられる人」になった話
大規模運用で起きがちな「統制不足/障害対応の属人化」をどうほどいたか。
A氏が最初に携わったのは、国内でも屈指のトラフィック量を誇る 決済基盤システムの運用・エンハンス対応。
24時間365日稼働、数百TPSの高負荷という、まさにミッションクリティカルな現場でした。
組織再編の影響で統制が弱まり、障害対応は属人化。
関係者間で認識のズレも起きやすく、「話し合っているのに決まらない」「夜間対応が特定の人に寄る」といった状態が続いていました。
A氏が最初に手をつけたのは、技術そのものより “運用の軸” でした。
定例会の進め方、設計書レビュー、意思決定プロセスを整理し、止まりやすい部分から順に整備していきました。
さらに深夜帯の障害では、OS/MW/ハードウェアの切り分けを素早く行い、復旧計画の策定までリードしました。
技術的な信頼はもちろん、「意思決定を任せられる存在」としての信頼も獲得。
複雑な現場ほど、こうした“前に進める役割”の価値が大きくなります。
事例2:公共系基盤──“原因の構造”をほどいて、安定化までつなげた話
性能問題の再発を「構造」で捉え直し、運用改善につなげたケース。
次にA氏が担当したのは、全国自治体のカード発行を支える 公共基盤システムの維持運用。
ここではレガシー運用の課題がはっきり表に出ていました。
ログローテーション未設定によるディスク逼迫、HULFTサーバの冗長構成不備、性能要件と実装の乖離、設計資料の欠落、コンソーシアム内の意思統一不足……。
問題が点在していて、場当たり対応では追いつかない状態でした。
A氏は、まず 「構造的に何が起きているのか」 を整理しました。
業務電文量や過去ログを分析して、なぜ運用が破綻しているのかを定量的に可視化。
さらに、ベンダー間の役割やスケジュールを再設計し、実行可能な運用プロセスへ再構築していきました。
性能問題についても「リソース制限超過」という仮説を立て、クラスタ構成・MW設定・アプリ負荷を複合的に検証し、基盤設計の抜け漏れを発見して安定化につなげました。
「性能が出ない」という現象を、設計レベルで解きほぐし、サービスの安定化へ。
ここでも効いているのは、原因を“読み解く力”でした。
事例3:500台規模の更改──視界をクリアにして、チームを前に進めた話
基盤更改(500台規模)で混乱を抑える“情報整理×体制づくり”。
A氏が次に挑んだのは、500台超のサーバを含む 大規模基盤更改。
設計遅延の影響で、構築とテストを並行せざるを得ない厳しい状況で始まりました。
「情報が揃わない」「手順が揺れる」「未経験者もいる」——この状態で大量構築が走り出すと、手戻りが連鎖して現場が疲弊します。
A氏が最初に行ったのは、正しい情報を揃えて、現場の視界をクリアにすること。
OS、HWなど各チームと迅速に連携し、情報集約と構築手順書の体系化を推進。
さらに、未経験者も踏まえた育成計画と作業分担を組み込み、タスクスケジュールを再定義して、優先度と依存関係を整理しました。
このとき整えたもの(抜粋)
- 構築手順書の体系化
- 未経験者の育成計画の組み込み
- タスクスケジュールの再定義(優先度と依存関係の見直し)
メンバー間の認識齟齬が減り、「誰が・いつ・何をすべきか」がクリアに。
大量サーバ構築を期限内に完遂する体制が整いました。
無料ヒアリング(30分)|運用リスク棚卸し
更改や増強で「情報が揃わない」「役割が曖昧」「手順が揺れる」と、手戻りが連鎖し、現場と品質が消耗します。
まずは現状を伺い、属人化・統制不足・手作業過多などの“詰まり”を リスク優先度 で整理します。
相談後は ①最優先リスク ②次アクション(最大3つ) を持ち帰れます。
事例4:車載データ基盤──自動化で、負荷と不安を同時に減らした話
運用自動化(CLI/ジョブ化)で工数とリスクを同時に下げた話。
現職で取り組むテレマティクス領域の運用保守では、A氏の 運用改善力とクラウド運用知識 がフルに発揮されました。
GUI作業が残り、定型運用が重い。障害時の復旧も、人に依存しやすい。
ドキュメントも散らばっていて、欠員が出るとリスクが跳ね上がる——そんな状態でした。
まず、定型運用をジョブ化し、約60時間/月の削減から着手しました。
GUI作業をCLI/ジョブ化し自動化(約60時間/月の削減)
障害時のサービス復旧を自動化し、復旧時間を短縮
手順書を汎用化し、レビュー負荷を最適化
ドキュメントを再整理し、PM欠員時でも対応可能な体制に
「運用を標準化して回る状態」を作りつつ、「改善し続けられる体制」も同時に作り、顧客から高評価を獲得。
さらに他案件の引き合いにつながる波及効果も生み出しました。
最後に大規模運用を“戻らない改善”にする、5つのコツ
ここまでの事例に共通するのは、「個別対応で頑張る」のではなく、運用を前に進める仕組みを作っていることです。
A氏が現場で繰り返しやっていた要点を、再現できる形にまとめます。
- まず事実を揃える(前提ズレ=再発)
- 論点を分けて整理する(混線=判断遅延)
- 決め方を整える(統制=スピード)
- 手順を資産にする(属人化=リスク)
- 自動化で定着させる(工数=コスト)
YOROZUができること:現場の“詰まり”を、一緒にほどく伴走支援
A氏の事例は特別な武勇伝ではありません。
YOROZUには同じように、現場に深く寄り添い、課題を読み解き、解決まで伴走できるエンジニアが多数在籍しています。
だからこそYOROZUは、単なる作業支援ではなく 課題解決に特化した伴走型の技術サービスとして選ばれています。
たとえば、こんな相談から始められます。
□ 障害対応が属人化している(初動・切り分け・復旧フローの標準化)
□ 性能問題が繰り返し起きる(仮説→検証→設計改善まで伴走)
□ 更改/増強で体制が崩れる(情報整理・手順書体系化・育成計画)
□ 運用自動化を進めたい(優先度付け→ジョブ化→定着)
無料ヒアリング(30分)|運用リスク棚卸し
運用の属人化・統制不足・性能問題の再発・手作業過多…
状況を伺い、「リスク」「コスト」「再発性」の観点で整理します。
いま一番危ない箇所(優先順位)
まず整えるべき“運用の軸”(会議体/意思決定/手順/情報)
次の一手(最大3つ)
準備不要/オンライン可/まずは壁打ちでOKです。
※まずは状況整理が目的です。無理な営業や契約前提の進行はしません。
よくある質問(FAQ)
Q. 相談前に準備しておく資料はありますか?
A. なくて大丈夫です。分かる範囲で現状を伺い、整理から一緒に進めます。
Q. 相談すると、何が持ち帰れますか?
A. “詰まり”を分解し、リスク優先度と次アクション(最大3つ)を整理してお返しします。
Q. 守秘や情報開示が心配です。
A. 相談では機微情報を避けた範囲で問題ありません。必要に応じて守秘の進め方もご案内します。
Q. 相談後に必ず契約になりますか?
A. いいえ。まずは壁打ち・状況整理だけでも構いません。判断材料として使ってください。
Q. どんなテーマが多いですか?
A. 「障害対応の属人化」「会議体・意思決定の停滞」「性能問題の再発」「更改での混乱」「運用自動化の優先順位」などです。
