catch-img

部署最適の育成から、全社で“横に動ける”エンジニアへ。CTCSが実践するスキル可視化×ハンズオン研修の回し方

A2ベースラインと年2回のスキルチェックで課題を可視化。
指定講座のハンズオン研修を年200名運用で回し、実務直結の学びを定着させる。

目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.導入前の課題:部門ごとの育成はできていたが、「横に動くための共通基準」が弱かった
  3. 3.まず“基準”をつくる:ベースラインはトップエンジニアの知見から始まった
  4. 4.“測り方”を先に決める:年2回のスキルチェックで、育成を回す
  5. 5.動画学習に加えて「実際に手を動かす」ことで深まる技術理解
  6. 6.チョイトレ選定の決め手:4つの比較軸と“運用のしやすさ”
  7. 7.運用設計の肝:年200名の選抜制で「必要な人に届く」形にする
  8. 8.分野別の指定講座:7分野×指定講座10本で学びを迷わせない
  9. 9.成果:100名平均で半年0.1〜0.3ポイント上昇。普段触れない領域への“気づき”が生まれた
  10. 10.人事のスタンス:育成は「会社に貢献できる材料」を整えること
  11. 11.まとめ:育成を「仕組み」で回すための3ステップ
  12. 12.今回インタビューを受けてくださった企業
  13. 13.この企業で利用しているサービス

はじめに

エンジニア育成は、理想像を描くだけではうまく回りません。
忙しい現場の中で「受けられない」「学びが定着しない」「育成が属人化する」といった運用の壁に当たるケースが多いからです。

CTCシステムマネジメント株式会社(以下、CTCS)では、ジョブローテーション活性化を背景に、全社で共通のスキル基準「A2ベースライン(以下、ベースライン)」を整備し、スキルを可視化したうえで、不足領域を埋める学習導線を整えてきました。

ここでいうA2とは、エントリーレベル/アソシエイトスタッフにあたる若手層で、「安心できる業務品質・効率で業務遂行ができる人材」として定義づけられた等級です。

今回は、人材戦略部 部長の中尾 征人氏、人材戦略部 キャリア開発課の熊谷 三奈氏に、導入前の課題から、運用設計、成果、今後の展望までを伺いました。

導入前の課題:部門ごとの育成はできていたが、「横に動くための共通基準」が弱かった

CTCSでは従来、技術育成は各事業本部が「この領域で、これくらい知っていてほしい」という経験値をもとに進め、人事はそれをバックアップする形が中心でした。

しかし2020年頃から、事業本部をまたぐジョブローテーションを活性化させたい議論が強まり、「横に動けるスキル」を会社として整える必要性が増していきます。

  • 異動に必要なスキルの説明が上司依存になりやすい(説明できる範囲・深さに差が出る)
  • 「できる」の基準が部門で異なり、異動後のミスマッチが起きやすい
  • 若手のスキルが“出っ張り引っ込み”しやすい(案件経験に引っ張られ、横を見ないまま偏る)

「部署最適」は進んでも、「全社で共通の基準」が弱いと、ローテーションの推進や育成の平準化が難しくなる――。
その課題が、次の打ち手につながりました。

まず“基準”をつくる:ベースラインはトップエンジニアの知見から始まった

CTCSが最初に取り組んだのは、「部署や現場が変わっても通用する共通の基礎スキル基準」をつくること。
企画の起点となったのは、社内のトップエンジニアが集まる専門家集団でした。

現場の実務観点に加え、独りよがりを避けるため外部基準として基本情報処理技術者試験のシラバス等も参照しながらベースを組み立てたといいます。

その後、人事が関与してからは、テクニカル面だけでなくビジネス面の育成観点やスキル標準の考え方も揃えて再整理し、ベースラインを再リリースしていきました。

“測り方”を先に決める:年2回のスキルチェックで、育成を回す

育成が「受けっぱなし」になりやすい。
だからこそCTCSは、スキルを見える化する仕組みを先に整えました。

ベースラインに対して、本人が自己評価し、上長と認識をすり合わせる「スキルチェック」を年2回実施。
節目のタイミングで実施することで、学びの計画(動画学習/研修受講など)につなげやすくしています。

  • 評価レンジ:0〜3(3=知識を活用できる、0=未理解)
  • 実施頻度:年2回
  • 回答率:概ね80%(必須だが繁忙等で100%は難しい)

そして、この「測れる状態」をつくった上で、次の課題が見えてきます。

動画学習に加えて「実際に手を動かす」ことで深まる技術理解

CTCSでは、全社員に動画学習環境を提供し自学を促進してきました。

一方で、ITの知識・技術は「動画視聴では補いにくい」領域がある。
そこで社内の専門職がワークショップ形式でハンズオン研修を試行していたものの、提供できる人数や回数に限りがあり、「体験できる機会をもっと増やした方がよい」という課題意識が高まったといいます。

AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。
このギャップを埋めるために必要だったのが、「手を動かす機会」を継続的に提供できる仕組みでした。


取材当日の様子(終始和やかな雰囲気で取材を受けてくださいました)

チョイトレ選定の決め手:4つの比較軸と“運用のしやすさ”

複数社を比較検討したうえで、CTCSが重視したのは次の4点でした。

  1. ハンズオン研修であること
  2. 帯運用できること(忙しくて今月参加できなくても次に回せる)
  3. 集合型(対面)で受けられること
  4. 夜間帯(オプション)があること(常駐を含む働き方への適合)

単発の研修はあっても、「継続運用しやすい形」で揃っているものは少ない――。
その現実が選定に影響しました。

運用設計の肝:年200名の選抜制で「必要な人に届く」形にする

導入にあたっては「実運用の中で十分に活用されるか」がポイントでした。
手挙げ式も検討したものの、手が挙がらない可能性も踏まえ、上長が背中を押せる選抜制でスタートしました。

  • 半年ごとに100名を選抜
  • 年2期運用で年間200名(100名×2期)
  • エンジニア部門を対象に運用

さらに、スキルチェック結果を参照し、一定基準を下回る層を優先的に選抜することで、底上げを狙う設計も特徴です。

受講時間の扱いも現場実態に合わせ、上長とすり合わせたうえで就業時間内として扱うケースと、自己研鑽として夜間に受講するケースを切り分けて運用しているといいます。

分野別の指定講座:7分野×指定講座10本で学びを迷わせない

CTCSでは、分野ごとに「この分野はこの研修で補う」という考え方でハンズオン研修を紐づけています。

チョイトレのハンズオン研修の対象となっている分野は7つで、各分野に対して指定講座は合計10本を選定しています。

なお、指定講座には「Linux初級編 全4回」「Windows初級編 全4回」「NW初級編 全3回」など複数回のシリーズが含まれるため、実際の受講回(コマ)数は10を上回ります。

<指定講座(10タイトル)>

  1. 今更聞けないインフラシステム概要理解
  2. Linuxを触ってみよう(基本編)
  3. Linuxを触ってみよう(応用編)
  4. 今更聞けないWindowsの使い方
  5. Windows初級編 全4回
  6. Linux初級編 全4回
  7. 今さら聞けないネットワークシステム概要理解
  8. NW初級編 全3回
  9. 情報セキュリティ入門編
  10. 今さら聞けないAWS概要理解

<分野別:大項目と対象ハンズオン研修の対応>

分野

大項目

対象ハンズオン研修

インフラ

コンピュータシステムシステム構成要素

今更聞けないインフラシステム概要理解

インフラ

コンピュータシステムファイルシステム

Linuxを触ってみよう(基本編)

Linuxを触ってみよう(応用編)

Linux初級編 全4回

インフラ

コンピュータシステムファイルシステム

今更聞けないWindowsの使い方

Windows初級編 全4回

ネットワーク

ネットワーク方式

今さら聞けないネットワークシステム概要理解

NW初級編 全3回

セキュリティ

情報セキュリティ

情報セキュリティ入門編

アプリケーション開発

フロントエンドシステム開発

Windows初級編 全4回

Linux初級編 全4回

アプリケーション開発

クラウドインフラの活用

今さら聞けないAWS概要理解

分野別に学習導線を整備し、受講を迷わせない仕組みを運用

この「分野→指定講座」の導線があることで、受講者は何を受ければよいか分からない状態になりにくく、上長も育成の会話をしやすくなります。

成果:100名平均で半年0.1〜0.3ポイント上昇。普段触れない領域への“気づき”が生まれた

受講者(100名)のスキルチェックでは、半年間で平均0.1〜0.3ポイントのスコアアップが見られています。

加えて熊谷氏は、ハンズオン受講が気づきを生むと語ります。
普段はインフラ領域の業務が中心でも、これまで触れてこなかった分野について研修を受けることで、

  • 「意外とこの知識が必要なんだ」
  • 「まだ足りないけれど、ここを伸ばせば武器になる」

といった自己認識の変化が生まれ、ジョブローテーション活用や新分野チャレンジが徐々に根付き始めているというのです。

人事のスタンス:育成は「会社に貢献できる材料」を整えること

最後に印象的だったのは、人事としてのスタンスでした。

“研修を受けていただいている方が、会社に貢献できる材料をどうやって私たちが整えられるかを意識してやろうと思っています。”
(取材当時、CTCシステムマネジメント株式会社 人材戦略部長 中尾 征人氏)

制度や研修は「用意して終わり」ではなく、現場で使われ、成長に繋がって初めて価値になる。
CTCSの取り組みは、その前提に立った運用設計が貫かれていました。

まとめ:育成を「仕組み」で回すための3ステップ

CTCSの事例から見えるポイントは、次の3つです。

  1. 共通基準を定める(ベースライン)
  2. 測って可視化する(年2回のスキルチェック)
  3. 不足を埋める導線を用意する(動画+分野別の指定講座ハンズオン)

「設計が立派」よりも、「運用が回る」こと。
これが、育成を実務へ接続するための現実解です。

資料請求

エンジニア育成を実務に接続するための運用モデルや、講座ラインナップ、導入の進め方を詳しく知りたい方は、
BFT道場「チョイトレ」資料をご覧ください。

今回インタビューを受けてくださった企業

CTCシステムマネジメント株式会社

●        事業内容  システム運用管理、ソフトウェア開発・維持保守、各種ソリューション(クラウド導入、ITインフラ構築、ネットワーク、ITセキュリティ、IT業務効率化)、衛星通信運用
●        URL      https://www.ctcs.co.jp/
●        所在地   東京都港区虎ノ門4-1-1
●        創業    1984年10月
●        設立    2008年7月
●        資本金   3億円
●        売上高   290.2億円(2025年3月期)
●        従業員数  2,075名(2026年4月1日現在)

CTCシステムマネジメント株式会社(CTCS)は、エンジニアが多数を占める組織として、制度・育成施策を現場の声を取り入れながらアップデートし続けています。

今回は、人材戦略部より中尾氏、熊谷氏にご協力いただきました。

熊谷 三奈(くまがい みな)氏 【写真左】
コーポレート本部 人材戦略部 キャリア開発課
新卒でCTCSに入社し、人事として3年目。
新入社員のフォロー研修、内定者研修、特定階層への研修を企画・推進している。

中尾 征人(なかお まさと)氏 【写真右】
コーポレート本部 人材戦略部 部長
人事として新卒入社後、給与計算・評価・採用・教育などを一通り経験。
その後、親会社のCTCへ転職し、主に労務領域を担当。
一時的に経営企画を経験したのち、2021年にCTCSへ出向。
コロナ禍ではテレワーク導入からスタートし、現在は教育領域を統括している。

この企業で利用しているサービス

BFT道場(チョイトレ)
BFT道場は、「仕事で使える、仕事ができる」とは何かを考えて作られた教育サービスです。

大原
大原
本サイトの運営責任者です。 株式会社BFTのマーケティングを推進しています。

人気記事ランキング

タグ一覧