
AI駆動開発ツール6種を実際に使ってみた ~未経験チームが試してわかったリアルな評価~【後編】
💡読了目安時間:約10分
AI駆動開発未経験チームが、AIを使って予算実績管理システムの開発に挑戦!
本記事では、未経験チームが実際に使ってみた6つのAI駆動開発ツールを、9つの評価軸に基づいて徹底比較。
コード生成の正確さや操作性、コストパフォーマンスまで含め、リアルな評価をお届けします。
まだ前編の「ツール紹介編」をご覧になられていない方は、下記リンクから是非チェックしてみてください!
前編はこちら
目次[非表示]
評価観点のおさらい
まず今回比較した6つのツールに対する評価観点をおさらいします。
私たちは以下の9つの観点から各ツールの評価を行いました。
応答速度 |
AIに対して与える指示や質問(プロンプト)に対する返答の早さ |
正確さ |
意図した内容に対して、正しいアウトプットが得られるか |
話の理解度 |
文脈や開発意図をどこまで読み取ってくれるか |
ツールの使いやすさ |
UIや操作感、セットアップのしやすさ |
機能の豊富さ |
コーディング以外の補助機能やユースケースの広さ |
カスタマイズ性 |
拡張機能の豊富さ |
技術情報サイトの充実度 |
公式ドキュメントや活用ノウハウの豊富さ |
開発企業の将来性 |
サービス継続性・技術力・信頼性など |
費用面 |
継続利用におけるコストパフォーマンス |
AI駆動開発ツール6種の比較チャート
評価観点を元に各ツールの比較を行い、それをレーダーチャートに表したものが以下です!
ツールごとに得意な領域や魅力的なポイントが異なるため、是非AI駆動開発ツール選定の参考にしてください!
※AIDEについては私たちの検証時に使用ができなかったため、以降の評価では割愛させていただきます。
実際どうだった?ツールごとの評価ポイントまとめ
ここからは各ツール使用時に私たちが感じた、いくつかの高評価ポイント・惜しかった点をまとめ、AI駆動開発ツールのランキングを紹介します!
ランキング凡例
Sランク |
非常に優秀。ほとんど欠点が見られない。 |
Aランク |
高評価。実用性・完成度ともに高い。 |
Bランク |
平均以上。特定の面ではやや弱さもあり。 |
Cランク |
改善の余地あり。 |
Sランク
Cursor
高評価ポイント
・コードの修正や提案に対して「どう変えたのか」「なぜそうしたのか」を説明してくれる。
・ある程度ユーザーによる操作が必要なため、学びながら開発を進めることができる。
・半自動で動作するツールのため、ユーザーがシステム全体を理解しつつ開発を進める必要がある。その結果、 AIによるコード修正の見落としなどの問題が発生しにくく、チーム開発に適していると言える。
惜しかった点
・画像読み込みによるコーディングは再現性が低く、まだ改善の余地がある。
Windsurf
高評価ポイント
・出力されたコードによってエラーが出た場合でも、Windsurfの方から解決策を提示してくれるため、ユーザーの負担がかなり少ない。
・自動化のレベルが高く、初心者でも簡単にシステムを作ることができる。
・開発企業であるCodeium Inc.は多額の資金調達を受けており、開発企業の将来性という面でツールを長く使用できる見込みがある。
惜しかった点
・全自動でのコード生成をコンセプトとしているツールのため、AIに渡すプロンプトの質によっては、必要以上にコードを補完することや、ユーザーが感知しづらい修正が行われることがある。
Aランク
GitHub Copilot
高評価ポイント
・プロンプトによるコーディングでは一定レベル以上の品質のものが出力される。
・他のツールに比べて費用が安く、有料プランではAIとのチャットに回数制限が設けられていない。
・開発企業が大企業であるため、将来性が担保されており、今後の発展も期待できる。
惜しかった点
・コードの正確さや話の理解度といった部分は、現状ではまだ平均的なレベル感となっている。
・編集モード・エージェントモードでは過去のチャット履歴が残らない点や、リクエストごとに毎回前提情報を含める必要がある点など、多少の不便さがある。
Cline
高評価ポイント
・UIイメージ画像を読み込ませた際の理解度が高い。
・Sランクのツールに見劣りしないコーディング性能を持っている。
・IDE(※)にプラグインとして導入が可能であり、現在使用している環境にそのまま組み込むことができる。
※IDE(アイ・ディー・イー)とは 「Integrated Development Environment(統合開発環境)」 の略で、ソフトウェア開発を効率的に行うためのツールが一つにまとめられたアプリケーション。
惜しかった点
・Clineの利用にはAI言語モデルのAPIキーが別途必要であり、費用は各AI言語モデルの利用料金に依存している。なお、現在APIキーでのAIサービス利用は、ほとんどが従量課金制のため使用量に注意が必要。
Bランク
Trae
高評価ポイント
・応答速度が非常に早く、ストレスフリーなツール使用が可能。
・無料枠で使用できる機能が充実しており、手軽に最新機能を試すことができる。
惜しかった点
・話の理解度が他ツールに比べて乏しく、ユーザーの指示を最後まで実行せずに処理が終了することがある。
・技術情報サイトによるツールの情報が他ツールに比べて充実しておらず、情報の取得が難しい可能性がある。
さいごに
今回の記事では、未経験チームの視点から、6つのAI駆動開発ツールを9つの評価軸で徹底比較しました。
実際に使ってみたからこそ分かったこと、それぞれのツールに光る強みと課題がありました。
現時点で特に有望だと感じたのは、以下の2つです。
・Cursor:理由付きのコード提案で、学びながら進めたいチームに最適
・Windsurf:圧倒的スピードで動く全自動型。試作・検証フェーズに最適
今後は、開発フェーズやタスクの性質に応じてこれらを使い分け、より効率的で実践的なAI駆動開発を探っていきます。
私たちの挑戦は、まだ始まったばかり。これからも失敗と学びを積み重ねながら、AIとともに成長していきます。
次回は、実際の開発フェーズでAIツールをどう活用したか、その成果や壁をリアルにレポート予定です。
「未経験からのAI開発」シリーズ、ぜひ今後もご期待ください!