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リザーブドインスタンスの削減余地を可視化する|4つの手順

リザーブドインスタンス(RI)やSavings Plans(SP)をすでに購入していても、稼働状況の変化によって知らないうちに削減余地が生まれているケースは少なくありません。Flexeraの「2026 State of the Cloud Report」では、クラウド支出のうち無駄になっている割合が5年ぶりに上昇し29%に達したと報告されています。本記事では、購入済みのRI・SPに削減余地が残る典型的な原因を整理したうえで、それを継続的に見える化するための具体的な4つの手順を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.なぜ購入したはずのRI・SPに削減余地が残るのか
  2. 2.削減余地が生まれる典型的な3パターン
  3. 3.まず確認したい自己診断チェックリスト
  4. 4.削減余地を可視化する4つの手順
  5. 5.対応前後でどう変わるか
  6. 6.可視化を「点」で終わらせないために
  7. 7.まとめ
  8. 8.よくある質問

なぜ購入したはずのRI・SPに削減余地が残るのか

RI・SPは、あらかじめ一定期間・一定金額の利用を約束することで、オンデマンド料金より割安に利用できる仕組みです。購入時点では最適な設計であっても、時間の経過とともに前提が崩れ、削減余地が生まれていきます。

第一に、事業の成長や縮小にともなうインスタンス数の変化です。増減に応じて予約数を調整しなければ、過剰な予約(未消化)か、不足した予約(オンデマンド偏重)のいずれかが発生します。第二に、インスタンスタイプやリージョンの見直しです。世代交代やアーキテクチャ変更で稼働環境が変わっても、購入済みのRIがそれに自動的に追従するとは限りません。第三に、契約更新が形骸化していることです。自動更新や担当者の異動により、購入時の判断根拠が引き継がれないまま契約だけが継続するケースが目立ちます。

削減余地が生まれる典型的な3パターン

具体的にどのような形で削減余地が発生するのかを、3つのパターンに整理します。

利用率(Utilization)の低下型は、購入したRI・SPの一部が使われないまま契約期間を消化してしまう状態です。例えば、開発環境向けに購入したRIが、その環境の縮小後もそのまま残り続け、割引効果を得られないままコストだけが発生しているケースがあります。

カバレッジ(Coverage)不足型は、逆に対象となる稼働の一部がオンデマンド料金のまま放置されている状態です。新規に追加したワークロードがRI・SPの対象に含まれず、割引を受けられる余地があるにもかかわらずオンデマンド料金を払い続けているケースが典型例です。

インスタンス不一致型は、購入時のインスタンスタイプ・リージョンと現在の実行環境がずれている状態です。旧世代のインスタンスタイプでRIを購入した後、コスト・性能面で有利な新世代タイプへ移行したにもかかわらず、RIだけが旧世代のまま残っているケースが挙げられます。

まず確認したい自己診断チェックリスト

具体的な手順に入る前に、自社の状況を次の5項目で確認してください。3つ以上当てはまる場合は、可視化の優先度が高い状態にあると考えられます。

  1. RI・Savings Plansの利用率(Utilization)を月次で確認していない
  2. オンデマンド実行分のカバレッジ(Coverage)を把握していない
  3. 購入時のインスタンスタイプ・リージョンと現在の実行環境が一致しているか確認していない
  4. 契約更新のタイミングをカレンダーで管理せず、自動更新に任せている
  5. 複数サービス横断でコスト最適化の推奨事項を確認する仕組みがない

該当項目が多いほど、個別の見直しよりもまず全体を可視化する仕組みづくりが必要な状態です。自社での判断が難しい場合は、無料のセルフチェックを使って現状を整理することもできます。

削減余地を可視化する4つの手順

限られたリソースの中で取り組む場合、次の4つを優先順位の順に着手することを推奨します。

手順1:利用率・カバレッジレポートを月次で確認する体制をつくる

まず着手すべきは、既存の集計機能を使った定点観測です。例えば、毎月第1営業日に利用率レポートとカバレッジレポートを確認し、目安値を下回った項目を経理・情シス双方に共有する運用に変えるだけで、未消化枠や偏重箇所に早期に気づけるようになります。

手順2:複数サービス横断で推奨アクションを一元的に洗い出す

サービスごとに個別確認していると、見落としが生まれやすくなります。契約状況とリソース利用実績を突き合わせて推奨アクションを一元的に提示する機能を使い、優先順位をつけて対応する運用に切り替えることで、確認工数を抑えながら見落としを防げます。

手順3:インスタンスタイプ・リージョンの現状とのズレを点検する

世代交代やアーキテクチャ変更のたびに、購入済みのRI・SPが現状と一致しているかを棚卸しします。旧世代タイプのRIを保有したまま新世代タイプへの移行を終えているケースでは、条件を柔軟に変更できるタイプへの組み換えを検討する余地があります。

手順4:契約更新のタイミングを起点に見直しサイクルを組み込む

契約満了の前に見直しの機会を必ず設けることが、可視化を一過性で終わらせないための要点です。例えば、契約満了の60日前にレビューを設定し、更新・組み換え・解約のいずれかを判断するテンプレートをあらかじめ用意しておけば、自動更新による惰性的な継続を防げます。

対応前後でどう変わるか

4つの手順を実施した場合、コスト管理の状態は次のように変化します。

観点

対応前

対応後

利用率の把握

購入時のまま放置し、稼働との乖離に気づかない

月次レビューで利用率・カバレッジを継続確認

推奨事項の確認

サービスごとに手動で個別確認する

横断的な推奨リストを一括で確認する

インスタンス不一致

世代交代後も旧タイプで契約し続ける

棚卸しにより柔軟なタイプへ組み換える

契約更新のタイミング

自動更新に任せ、余剰枠がそのまま継続

更新前に見直しを組み込み、余剰を都度精算

可視化を「点」で終わらせないために

月次確認や棚卸しは、実施した瞬間から状態が変化し続けるため、一度の見える化だけでは効果が長続きしません。可視化を「点」の作業で終わらせず、契約状況とリソース利用実績を継続的に突き合わせる「線」の運用に変えることが、削減余地を放置しない鍵になります。

BFTでは、20年を超える金融・公共システムの運用実績をもとに、コスト診断とその後の継続的な運用支援を一貫して行っています。可視化した削減余地を実際の契約見直しにつなげ、そのあとの状態を維持するところまで含めて支援できる点が、社内の兼務体制だけでは対応しきれない部分を補う役割になります。

[関連記事: クラウド費用が増え続ける原因と削減方法について]
[関連記事: クラウドコストを経営層に説明する資料の作り方について]

まとめ

  • RI・Savings Plansは購入時点が最適でも、稼働状況の変化により削減余地が生まれ続ける
  • 削減余地は「利用率の低下」「カバレッジ不足」「インスタンス不一致」の3パターンに整理できる
  • 自己診断チェックリストで5項目中3つ以上該当する場合は、可視化の優先度が高い状態
  • 可視化は「月次確認」「推奨アクションの一元把握」「構成の棚卸し」「更新時期の見直し」の順で仕組み化すると効果的
  • 可視化を一度きりの点検で終わらせず、契約更新のたびに繰り返す運用に変えることで効果が持続する

よくある質問

Q. リザーブドインスタンスとSavings Plansの違いは何ですか。
A. RIは特定のインスタンスタイプ・リージョンを対象にした予約割引で、Savings Plansは時間当たりの利用金額を約束することで幅広いインスタンスファミリーに柔軟に適用できる割引です。構成変更が多い環境ではSavings Plansの方が追従しやすいとされています。

Q. 削減余地の確認はどのくらいの頻度で行うべきですか。
A. 少なくとも月次での確認を推奨します。契約更新のタイミングだけでなく、インスタンス構成を変更した際にも都度確認することで、乖離の蓄積を防げます。

Q. 専任の担当者がいなくても見える化はできますか。
A. クラウド事業者の標準機能を使えば一定の可視化は可能ですが、継続的な運用とセットで行わなければ効果が薄れます。専任の確保が難しい場合は、可視化から運用まで含めて外部の診断・運用支援を活用する選択肢もあります。


自社のクラウドコストにどれだけ削減余地が残っているか、まず把握したい方へ

上記のチェックリストで該当が多かった方は、自己判断だけで終わらせず、客観的な診断で現状を数値化することをおすすめします。YOROZUでは、コスト診断とその後の継続的な運用支援をご用意しています。

大原
大原
株式会社BFTのマーケティングを推進しています。

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