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クラウド費用が増え続ける原因と削減方法|まず見える化すべき6項目

クラウド費用が「気づいたら増えている」という声は、情シスでも経営企画でも共通の悩みになっています。結論から言えば、費用の増加は使い方の乱れそのものよりも、無駄が見えないまま積み上がる構造が原因です。まず支出を費目ごとに見える化し、無駄を「すぐ効く施策」「計画的な施策」「継続して守る施策」に分けて手を打てば、多くの環境で一定の削減余地が見つかります。本記事は、クラウド費用の増加に悩む情シス・経営企画の担当者に向けて、増える原因の構造と、現実的な削減方法の進め方を整理します。

目次[非表示]

  1. 1.なぜクラウド費用は「気づいたら」増えているのか
  2. 2.まず確かめたい6つのセルフチェック
  3. 3.削減方法は「効き方の速さ」で分けて手を打つ
  4. 4.削減した状態を「維持」するのがFinOpsの発想
  5. 5.Before→After:見える化で変わること
  6. 6.まとめ
  7. 7.よくある質問

なぜクラウド費用は「気づいたら」増えているのか

オンプレミスの時代は、サーバを買った時点で費用がほぼ固定されました。クラウドは「使った分だけ」の従量課金なので、初期投資は抑えられますが、その裏返しとして使い方の乱れがそのまま毎月の請求に反映され続けるという性質があります。

費用が膨らむ背景には、大きく3つの構造要因があります。

第一に、過剰スペックです。クラウド移行の際は、性能不足による障害を避けるため「念のため」大きめのインスタンスを確保しがちです。移行が終わっても見直されず、平均使用率が一割台のまま本番稼働を続けている、というケースは珍しくありません。

第二に、消し忘れた資源です。検証のために立てた環境、切り離したまま残っているディスク、止め忘れた開発サーバなど、誰も使っていないのに課金だけが続く資源が静かに積み上がります。担当者の異動や退職が挟まると、そもそも「誰が何のために作ったか」が分からなくなり、消す判断そのものができなくなります。

第三に、見えにくい従量課金です。データ転送料、API呼び出し、ストレージの階層、そして近年は生成AIの推論利用など、事前に読みづらい従量部分が増えています。ある調査では、アイドル状態の資源や過剰にプロビジョニングされたインスタンスなどの無駄が、クラウド支出全体の25〜35%を占めるとされています。裏を返せば、そこには相応の削減余地が眠っているということです。

まず確かめたい6つのセルフチェック

削減の第一歩は、大がかりなツール導入ではなく「自社に無駄が眠っていないか」を確かめることです。次の6項目のうち3つ以上当てはまれば、見直しで費用が下がる可能性が高いと考えてください。

  1. 直近3か月で、クラウド費用が「なぜ増えたか」を費目ごとに説明できない。
  2. 各インスタンスの平均CPU・メモリ使用率を、誰も定期的に確認していない。
  3. 検証・開発環境が、業務時間外や休日も動いたままになっている。
  4. どの部署・どのプロジェクトがいくら使っているか、タグや区分で分けられていない。
  5. リザーブドインスタンスや長期利用割引を、ここ1年見直していない。
  6. 請求額が想定より膨らんだとき、原因の特定に数日以上かかる。

多く当てはまるほど、削減の効果は大きくなります。特に4番(コストの按分ができていない)は、後述するコスト配賦の土台になる重要な項目です。

削減方法は「効き方の速さ」で分けて手を打つ

削減施策は数多くありますが、いちどに全部は進みません。効果が出るまでの速さで分類し、優先順位をつけて着手するのが現実的です。

分類

主な施策

効き方

難易度

すぐ効く

消し忘れ資源の停止・削除、開発環境の夜間停止

即月〜翌月

計画的に効く

インスタンスのサイズ適正化、ストレージ階層の見直し

1〜3か月

継続して守る

リザーブド/割引プランの最適化、コスト配賦の運用

継続

中〜高

たとえば「すぐ効く」施策の代表が、開発・検証環境の夜間停止です。平日夜間と休日を止めるだけで、その環境の稼働時間はおよそ3分の1になります。障害リスクもほぼなく、着手のハードルが最も低い施策です。

「計画的に効く」施策では、サイズの適正化(ライトサイジング)が中心です。使用率の低いインスタンスを一段小さくする、あるいは新世代のインスタンスに切り替えるだけで、性能を保ったまま単価が下がることがあります。ただし本番環境に触れるため、影響範囲の確認とテストを挟む必要があります。

「継続して守る」施策は、一度設定して終わりではありません。リザーブドインスタンスや長期割引は、契約期間中に構成が変わると割引が無駄になることもあり、定期的な見直しが前提です。ここが、後述する運用の継続性につながります。

削減した状態を「維持」するのがFinOpsの発想

一度きりの棚卸しで費用を下げても、半年もすれば新しい資源が増え、また無駄が積み上がります。そこで近年注目されているのがFinOpsです。FinOpsとは、クラウドの費用管理をエンジニア・財務・経営が協力して継続的に行う考え方で、単なるコスト削減ではなく「データに基づいて賢く投資する」攻めの財務戦略と位置づけられます。

ポイントは、削減を「見える化 → 最適化 → 定着」のサイクルとして回し続けることです。見える化で現状を把握し、最適化で無駄を除き、定着でルール化する。この輪が回り続けて、はじめて無駄は再発しなくなります。診断で現状を可視化するのが「点」だとすれば、その状態を維持し続ける運用が「線」にあたります。費用の適正化は、直し続けることではじめて成果になるという点は、セキュリティやシステム運用の改善とまったく同じ構造です。

中堅企業がいきなり大がかりな体制を組む必要はありません。まずは費用の見える化と、月に一度の見直しを習慣づけるところから始めれば十分です。クラウド支出が一定規模を超えてきた段階で、専任の小さなチームを検討する、という順序で問題ありません。

Before→After:見える化で変わること

見える化ができていない状態と、できた状態では、費用への向き合い方が根本的に変わります。

観点

Before(見えていない)

After(見える化した)

増加への反応

請求が来てから慌てる

増加の兆候を月内に把握

原因の特定

数日かけて手作業で調査

費目・部署単位で即座に特定

経営への説明

「クラウド代」の一括りで説明困難

用途別の内訳で投資判断が可能

削減の持続性

一度下げても再び増える

サイクルとして維持できる

BFTは金融・公共分野で20年以上、大規模システムの運用を担ってきました。その現場で繰り返し見てきたのは、費用の問題の多くが「技術的に難しい」のではなく「見えていないから手を打てない」だけ、という事実です。まず見える化すること。それが削減の遠回りに見えて、最も確実な近道です。

まとめ

  • クラウド費用の増加は、過剰スペック・消し忘れ資源・見えにくい従量課金という3つの構造要因で積み上がる。
  • 無駄はクラウド支出の25〜35%を占めるとされ、そこに削減余地が眠っている。
  • 削減施策は「すぐ効く/計画的/継続して守る」で分類し、優先順位をつけて着手する。
  • 一度下げた費用を維持するには、見える化・最適化・定着のサイクルを回し続けるFinOpsの発想が要る。
  • 削減の第一歩は大がかりなツールではなく、まず費用を費目・部署単位で見える化すること。

よくある質問

Q. クラウド費用の削減は、どこから手をつければいいですか。
A. まずは「すぐ効く」施策である消し忘れ資源の停止と、開発・検証環境の夜間停止からです。障害リスクが低く、着手した月から効果が出やすいため、最初の一歩に向いています。

Q. FinOpsは中堅企業でも始められますか。
A. 始められます。専任チームやツールが最初から必要なわけではなく、費用の見える化と月一回の見直しを習慣づけるところからで十分です。支出が一定規模を超えた段階で、小さな専任チームを検討する順序で問題ありません。

Q. どのくらいの削減が見込めますか。
A. 環境によりますが、無駄が支出の25〜35%を占めるという調査もあり、見える化と施策次第で相応の削減余地が見つかることが多いです。ただし実際の効果は現状の使い方によって大きく変わるため、まず現状把握が前提になります。

Q. 一度削減すれば費用は下がったままになりますか。
A. なりません。新しい資源が増えれば無駄も再び積み上がります。削減した状態を維持するには、見える化・最適化・定着のサイクルを継続することが必要です。


クラウド費用の増加に心当たりがあるなら、まずは現状を「点」として把握することをおすすめします。YOROZU SNAP コスト診断では、どの費目・どの資源に無駄が眠っているかを短期間で見える化し、削減余地を具体的な数字で提示します。

大原
大原
株式会社BFTのマーケティングを推進しています。

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