情シスの人手不足対応策|採用の前に見直すべき4つの選択肢
情シス部門の人手不足は、求人を増やすだけでは解消しないケースが少なくない。中途市場での競争が激しく採用そのものに時間がかかるうえ、仮に1人採用できても、属人化した業務を引き継ぐだけで手一杯になり、実質的な余力は増えないことが多いためだ。本記事では、採用に踏み切る前に検討すべき対応策を、優先順位を付けて整理する。
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情シスの人手不足はなぜ「採用」だけで解決しないのか
情シス担当者が不足していると感じたとき、最初に検討されるのが増員だ。しかし増員には構造的な限界がある。
第一に、IT人材の中途採用市場は競争が激しく、母集団形成から入社まで半年以上かかることも珍しくない。第二に、仮に採用できても、既存業務の多くが特定の担当者に依存した「属人化」状態にある場合、新任者はまず引き継ぎと業務の解読に時間を取られ、戦力化まで数ヶ月を要する。第三に、退職・異動によって同じ問題が再発するため、採用は根本的な解決ではなく応急処置にとどまりやすい。
つまり、人手不足という症状の背景には「業務量そのものが多すぎる」「属人化していて引き継ぎ・分担がしにくい」という構造的な課題があり、これを放置したまま人を増やしても、負荷は分散されるだけで総量は変わらない。対応策を検討する順序は、増員より先に「業務量を減らす」「仕組み化して属人性を下げる」ことにある。
まず確認したい、人手不足のサイン ― セルフチェック
対応策を検討する前に、自部門の状態を客観的に確認しておきたい。次の5項目のうち3つ以上当てはまる場合は、増員だけに頼らない対応策の検討が必要な段階にあると考えられる。
- 特定の担当者が休むと、対応できない業務が発生する
- 問い合わせ対応や定型作業に、1日の業務時間の半分近くが割かれている
- 改善したい課題は把握しているが、着手できないまま数ヶ月が経過している
- 直近1年で担当者の退職・異動があり、引き継ぎに苦労した経験がある
- 夜間・休日の障害対応や監視業務が、特定の個人の負担に偏っている
これらは個別の問題に見えて、根っこは共通している。業務量と属人性が、担当者の余力を先に食いつぶしているという構造だ。
情シスの人手不足への現実的な対応策 ― 4つの選択肢
対応策は、効果が出るまでの期間と、必要な仕込みの手間によって次の4段階に整理できる。順番を飛ばして採用だけに進むと、前述のとおり同じ問題を再生産しやすい。
段階 | 対応策 | 概要 | 効果が出るまでの目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
① | 業務量そのものを減らす | 定型的な監視・通知・棚卸し作業を自動化し、対応が必要な業務の絶対量を減らす | 数週間〜1ヶ月 | 自動化対象の見極めを誤ると、かえって例外対応が増える |
② | 標準化して属人化を解消する | 手順書・運用ルールを整備し、対応可能な担当者を増やす | 1〜3ヶ月 | ドキュメント整備自体に一定の工数がかかる |
③ | 外部の運用力を借りる | 診断で現状を可視化したうえで、BPO・MSPなど外部リソースに一部業務を委託する | 1〜3ヶ月 | 委託範囲とセキュリティ・コスト管理の切り分けが必要 |
④ | 採用は最後に絞り込んで行う | ①〜③で業務量・属人性を整理したうえで、本当に必要なポジションだけを採用する | 3ヶ月〜半年 | 整理前に採用を進めると、募集要件が曖昧になりやすい |
たとえば①の自動化について、夜間バックアップの失敗は典型的な例だ。担当者が翌朝出社してログを確認するまで失敗に気づかない運用のままでは、対応が後手に回り、結果的に休日出勤や緊急対応で個人の負担が増える。失敗を検知した時点で当番者に自動通知する仕組みに変えるだけで、確認作業そのものが不要になり、対応も早まる。
②の標準化では、「なぜこの設定にしているか」という背景まで含めた手順書が有効だ。手順だけを書いた資料は、担当者が不在のときに応用が利かず、結局は本人への問い合わせが発生してしまう。
③の外部活用では、委託する前に自部門の業務を棚卸しし、どこまでを外部に任せられるかを診断で可視化しておくと、委託範囲の線引きで迷わずに済む。診断は現状を把握する「点」の作業だが、そこで見つかった課題の多くは一度直して終わりではなく、運用を続ける中で再発する性質を持つ。だからこそ、診断のあとに「直し続ける」運用の仕組みを合わせて検討する意味がある。
Before→After:対応策を実行すると何が変わるか
上記の対応策に着手した場合、担当者の実感として次のような変化が見込まれる。
観点 | Before(対応策なし) | After(①〜③に着手後) |
|---|---|---|
対応スピード | 障害・不備の発見が翌営業日以降になりやすい | 検知から通知までが自動化され、当日中に対応できる |
属人性 | 特定の担当者しか対応できない業務が残る | 手順書とルールにより複数人で対応可能になる |
夜間・休日の負担 | 個人の携帯電話への連絡に依存する | 監視・一次対応の一部を仕組みまたは外部に移せる |
経営への説明 | 「人が足りない」という感覚的な説明にとどまる | 業務量・委託範囲を数値で示して説明できる |
「増員」より「仕組み化」を前提にする視点
情シスの人手不足は、突き詰めれば「増やして乗り切る」問題ではなく「減らして、仕組みで維持し続ける」問題として捉え直す必要がある。BFTは20年以上にわたり金融・公共分野の大規模システム運用を担ってきた実績があり、ITIL v4やSRE、AIOpsといった標準に沿った運用設計を行っている。こうした現場で共通して見えてくるのは、人手不足への対応が場当たり的な増員で終わると、担当者が入れ替わるたびに同じ課題が再燃するという事実である。
外部の調査でも、情シス担当者の業務時間のかなりの部分が、問い合わせ対応や定型的な保守作業といった、付加価値を生みにくい業務に割かれているという指摘もある。ここに手を付けないまま採用計画だけを進めても、新しい担当者もまた同じ業務に埋もれていくことになりやすい。
まとめ
- 情シスの人手不足は、採用だけでは構造的に解決しにくい。引き継ぎと戦力化に時間がかかり、同じ問題が再発しやすいためだ。
- 対応策には優先順位がある。①業務量の削減(自動化)②標準化による属人化の解消③外部リソースの活用④それでも足りない場合の採用、という順番で検討したい。
- 夜間バックアップの監視自動化のように、小さな仕組み化でも対応スピードと担当者の負担は大きく変わる。
- 外部委託を検討する際は、診断によって業務範囲を可視化してから委託範囲を決めると、線引きで迷いにくい。
- 診断は現状把握という「点」の作業であり、そこで見つかった課題を直し続ける「運用」と組み合わせて初めて効果が持続する。
よくある質問
Q. 情シスの人手不足には、まず何から手をつければよいですか。
A. 増員よりも先に、定型業務の自動化や属人化の解消など、業務量そのものを減らす対応から着手することが優先されます。人が足りない状態のまま採用活動を進めても、戦力化までに時間がかかり、負荷は解消されにくいためです。
Q. 外部委託(BPO・MSP)はどこまで任せられますか。
A. 委託できる範囲は企業ごとの業務内容によって異なるため、まず自部門の業務を棚卸しし、診断によって現状を可視化したうえで、コア業務とノンコア業務を切り分けて検討することが有効です。
Q. 少人数の情シスでも仕組み化は可能ですか。
A. 可能です。むしろ少人数であるほど、夜間監視の自動通知や手順書の整備など、小さな仕組み化の効果は相対的に大きくなります。大掛かりな投資でなくても着手できる範囲から始めることができます。
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情シスの人手不足に構造的な対応策を検討したい場合は、まず現状を可視化することから始めたい。YOROZUでは、業務量の可視化から外部活用まで、状況に応じた選択肢を確認できる。自部門の業務範囲や委託の可否について相談したい場合はSTEADYへの相談も利用できる。本文のセルフチェックで当てはまる項目が多かった場合は、無料セルフチェックから現状の整理を始めるのも一つの方法だ。
